風物
サービスアパートメントの入り口付近で大きな音がした。
何かがひっくり返ったか、落としたのか…
特に気にも留めず、ロビーにいるメイドさんに挨拶すると、
いつもはニコニコしている彼女が、
不安そうな表情を見せ、挨拶を返さなかった。
訝しく思いながら、アパートの玄関のドアを開けると、こんな状態。
階段の角が欠けている(写真中央少し右)。
危ないー。あと1分、早く部屋を出て、この下を通っていたら…。
私の頭がこの状態になっている。
シャッター周辺の入り口の枠組み、タイル部分の上一辺が、
まるごと剥がれて落ちている。
ベトナムあるある~。
2017/12/13
【高層ビルから窓ガラス落下!あわや大惨事か!?】
https://sake.vietnhat.tv/e34698.html
2020/09/24
【横断歩道でないところを渡ったら、罰金8万VND?】
https://sake.vietnhat.tv/e48998.html
※こちらは、街路樹が折れて落ちたことが書いています。
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その夕方、店の掃除をしていると、急に電気が消えた!
ウチの店が入っているこの一棟だけでなく、その前の路地も真っ暗だ。
こんなどさくさな時にも、
律儀に注文されたお酒を受け取りに来られたお客様がいらして、
懐中電灯で下から顔を照らしてご登場。
まるでホラー映画のようだ。
「スカイガーデンも、一瞬、エレベーターが止まりました」
さっそく偵察に、外に出てみる。
周辺のヘムはもちろんのこと、
レタントン通りに面した南側一列が真っ暗。
「牛めし屋」のオーナーさんも駆けつけていらして、
「何か工事あるとかは、聞いてなかったんですけれど…」
と、スタッフがデリバリー分の注文を、懐中電灯で照らしながら作っていた。
停電は20分続いた。まだ短い方だ。
最長、1時間半というのがあった。
営業時間内で、お客様がいらした時もあった。
一時間半ともなると、エアコンは切れているので暑いし、
ファンが回らないので、酸素も少なくなってくる。
蝋燭を付けると明るくて、雰囲気も良いのだが、
いかんせん、ますます酸素が少なくなるし、暑くなる。
そんな中、この非日常を愉しみつつ飲みながら待つお客様たち。
子ども時代の肝だめしのような心境なのか。
声の主の顔も見えない中、会話が弾む。
そして何の前触れもなく、パッと、室内が明るくなった瞬間、
歓声が湧く。
外からも一斉に聞こえてくる。
一緒にこのトラブルをやり過ごしたと言う連帯感が生まれ、
お互いの顔が見えたとたん、親近感が増し、
「乾杯!」となる。
と、良い事づくめではない。
タイミング悪く、一人ぽつねんと、暗闇の中に取り残されることもある。
いつ、光が戻って来るか分からない。
スマホのバッテリーが切れるかも知れない不安の中で、
効率的に電気を使用しながら、時間をやり過ごすしかない。