おすすめ(飲食店)
「さて、お昼時ですねー。どこか、行きましょか」
「何が食べたいですか?」
「日本食」
すかさず答えが返ってきた。
前日いらしたばかりなのだが、
日本食を試食しておきたいというお考えと、
一回ぐらいは日本食を食べたいといったところだろうか。
ヘムの中をご案内する。
「岐阜屋」「FUJIRO」あたりの路地がもっとも混み合い、
どちらにしようか迷うところ。
私としては、
「岐阜屋」の麻婆豆腐や煮込みハンバーグが好評なので、食べてみたかった。
しかも視察団の平均年齢は少々お高め。
みんなが「岐阜屋」の黒板を覗きこむ。
───なぁんだ、麻婆豆腐か…日本食じゃないじゃん
そう思われたのかも知れない。
「鯖の味噌煮」とか「さんま定食」とか、
純和風のメニューが上から並んでいたら即決だったかも知れない。
そうこうしているちに岐阜屋から、
前掛けに三角巾の女性スタッフが二人出てきて声を掛けて来た。
昨日今日来た日本人にとって、
ベトナム人女性の元気すぎる客引きは、どうなんだろうか…
後ずさりして振り返った、みなさんの心を掴んだのは、
「FUJIRO」の食品サンプルのショーケースだった。
「ここにしよう!♪」
いちばん年配の方の鶴の一声だった。
さらに「FUJIRO」は店先が明るく、純和風の格子戸に誘われやすい。
自分で記入するタイプの注文票も今風なのか、「お!」という反応だった。
さらに出てきた豚カツの分厚さ、肉質の良さに驚きの声。
そしてこのカキフライ。
「この牡蠣、どこの?大丈夫?」
「宮城県産ですよ」
「とかなんとか言って、ベトナム産とちゃうのん?」
そんなこと、ないですってば。
牡蠣の殻にフライが乗っている斬新さがウケている。
「殻は、使いまわしと、違いますのん?」
食に関してうるさいのが多いのは、「関西人」だそうだ。
修学旅行でも…
「いちばん文句の多いのが、大阪の高校生たちです。
不味いといって、残すんですよ」
という、旅館の人たちの証言。。。
閑話休題。
さて、食べ終わって店を出る。
「美味しかったねー」
「うん、驚きだねー、ここまでのクォリティーが実現できるなんて、日本と変わりないねー」
と、口々に褒める東京の人たち。
満足していただけて、良かったです。