風物
ただただ、のらりくらりと曲がりくねる濁水の川と、何もない河川敷、
土塀の向こうには、古びた家屋がちらりと屋根を覗かせ、
間に挟まれるように、細々と営業する植木や観葉植物を売る店が立ち並び、
道端には、大ぶりの金魚を一匹ずつビニール袋に入れて、バイク屋台で売っている金魚売り。
上下10車線の幹線道路の脇も、まだ、こんな感じだった。
私は、この長閑な風景が好きだった。
それが今では、一掃され、
5棟のタワーマンションが林立し、
一棟数億円と言われるヴィラが建ち並び、
ショッピングモール、病院、学校…ヨットハーバーまで隣接する、
「ベトナムのドバイ」と呼ばれる「シティー」に生まれ変わりつつある。。
そんな街を横目に、まだ、ノンラーをかぶって、
一本1万5千ドン(≒75円)のバインミーを、作りながら売っている、
行商の人たちがいる。
こんなにバイクがびゅんびゅん飛ばしているところで、
声を掛けるのは迷惑かしら?
と、思いつつ、近づくと…
それまで自転車を押して、ゆっくり歩いていたのが、
やおら、自転車に乗って漕ぎ出した。
↑↑↑ あれよあれよと言う間に、遠ざかってゆきつつある図・・・
慌てて、シャッターを切った。
歩いていたのは、橋の上の釣り人狙いかと思ったのだけど、
単に、上り坂だったのね。
道端に茣蓙や椅子を出しての飲食業は、一度、取り締まられ。
しばらく姿を消していたが、
またぞろ、ほとぼりが冷めた頃に出てきた。
だが、車社会に移行し、この通りもさらに発展すると、
現実的に道端営業も難しくなるのかも知れない。
こんな長閑な光景が、ホーチミン市の著しい発展の陰に、
減ってゆき、やがて消えてゆくことは想像に難くない。
まあ、その頃には、また新しいビジネスモデルがたくさん出現していることだろうが。。。
2019年現在の、新旧混在した姿は、貴重だなと思う。