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【今読みたい本「老人支配国家 日本の危機」】
エマニュエル・トッド (著) Kindle版
本当の脅威は、「コロナ」でも「経済」でも「中国」でもない。
「日本型家族」だ!
というセンセーショナルなキャッチフレーズに、
「若者の生活を犠牲にして老人のコロナ死亡率を抑えた日本だが、
社会の存続に重要なのは高齢者の死亡率より出生率だ。」
「「家族」が日本社会の基礎だが、
「家族」の過剰な重視は「非婚化」「少子化」を招き、かえって「家族」を殺す。」
これらの見出しに、ドキッとしながらも…どこか腑に落ちKindleで読みました。

■エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)
1951年生まれ。
フランスの歴史人口学者・家族人類学者。
国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論により、
「ソ連崩壊」や「米国発の金融危機」、「アラブの春」を、
さらにはトランプ勝利、英国EU離脱なども次々に"予言"。
「「死」は嘘をつかない。」
「「経済統計」は嘘をつきますが、「人工統計」は嘘をつきません。1976年に今後、10年、20年、もしくは30年以内にソ連は崩壊する」と論じたのも、乳幼児死亡率の数字からだったそうです。
それは乳幼児死亡率が71年から74年まで上昇し続け、
75年以降は公表されなくなったからです。
そしてこの将来予測は見事に的中しています。」
そして、今回の新型コロナの死亡率で注目すべきなのは、
「各国の死亡率に大きな違いがあること」だと言います。
これらは、ウィルスの属性よりも、各国の現状を如実に表しています。
感染者数ではなく、死亡率とその原因や内容を分析すべきだと
多くの人たちが疑問を呈していますが、
そちらが注目され、発表されることはありません。
たとえば人口10万人あたりの死者数は、
ベルギー「77.4」にはじまり欧米で高く、唯一ドイツは「9.5」。
日本や韓国はさらに低く「0.5」程度です。
「権威主義的」で「女性の地位が低い」国で「直径家族」の国の
死亡率が低くなっているのです。
コロナでの最大の嘘は
高齢者や持病のある人でなければリスクは小さいのに、
「若者」や「現役世代」のリスクを誇張し、その活動を制限してきたことです。
と、トッドは力説しています。
彼の国フランスが、「マスクさえ生産できない」ほど、
産業の空洞化を起こしていることについても批判しています。
「歴史」「価値観」「感情」に囚われすぎると、
「地政学的真実」は見えてきませんと、警鐘をならしたうえで。
各国の状況や移民問題、貨幣制度(EU)、核の保持、外交についても論じています。
また
「中国が、今後「帝国」になることは、政治的にも経済的にもないでしょう。
中国の未来は悲観せざるを得ないという点で、人口学者は一致しています」
そして最後の章では、対談形式で、日本の天皇・女性・歴史について語っています。
この一冊で、今、世界で起こっている現状の裏の事情というのが垣間見れて、
目から鱗の多くの知見が得られた、興味深い一冊でした。
Kindleでダウンロードできます。