街かど
【レタントンのヘムに、何が?@歓楽街の変遷】
怪しいマッサージ店や、ガールズバーの、
店舗前や、道端に出ての客引きが禁止された。
違反すると罰金が科される。
ということが一斉に行われ、ヘムは、
駐在日本人が一時帰国したことも加わって、
とても静かで、ひっそりとしている。
その粛清は、ついに飲食店のディスプレイにもおよび…
というのが、昨日までの話し。
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その影響や是非についてはともかく。
私が知っている日本の歓楽街は、どのような変化を辿って来たかと、考えてみた。
歌舞伎町は一切の「客引き」を禁止してから、トラブルは減ったと聞くが。
それで「不夜城」「眠らない街 新宿鮫」といった
「新宿」の冠が、消えたわけではなかった。
歌舞伎町はあまり良く知らないのだが、
よく行ったのは「ゴールデン街」。
2~30年前。
あの狭い路地のこと、店の表に出ての客引きはなかったが、
店と店との間の狭い路地の角にいる女性が、
近道をしようとすると、とうせんぼする形で、声を掛けてくる。
また店のドアを開けて、カウンターから声を掛けてくる女性がいた。
常連さんは、そういう店には行かないのだけれど、
時々、観光や出張で来た男性客が、
酔狂にもそんな店にふらりと立ち寄り、
思い切りぼったくられて、財布を空にして追い出される…
といった光景も、ゴールデン街あるある、一つの風物だった。
規制が掛かったり、取り締まられたりするのだが、
なかなか改まることはなかった。
ゴールデン街は、サラリーマンも多いのだが、
作家や映画関係者、漫画家、デザイナー、俳優、声優など、
クリエーターも多く。
ただの飲食街でも風俗街でもなく、
一つの「文化」として存在していた。
その「文化圏」は、ゴールデン街から新宿二丁目まで続く。
私が、故中上健次氏や、故連城 三紀彦氏、故藤田敏八氏、
根岸吉太郎氏、故深作欣二氏、故降旗康男氏、
故神波史男氏、荒井晴彦氏とお会いしたのも、
このあたりだった。
(根岸さんと荒井さん以外、全員「故」。。。)
ところが…。
ゴールデン街が、「ロンリープラネット」のような、
海外向け(どちらかというと欧米人御用達の)ガイドブックに掲載されたのだ。
それから、この街に来る人たちが求めるものが変わった。
親子4人、日本に旅行に来るぐらいだから、
身形の良いお金持ちの欧米人たち。
子どもはまだ小学生や、中学生と小さい。
とても飲み屋街のゴールデン街には似つかわしくないが、
ぼったくりおばちゃんの店はどんどんなくなり、
若いオーナーや、ユニフォームを身に着けた若いスタッフが経営する
カフェバーや、プチレストラン、食べ物屋が取って代わって行った。
あの、タバコと酒の、饐えた匂いのする怪しげな街は、
健康的な飲食店街へと変わって行った。
品川区に引っ越してからは、新宿に来ることも減り、
その後はどんな風に変わったかは知らない。
一昨年、たまたま、よく飲みに行っていた店を探して訪ねると、
マスターではなく、若い女性二人が店を切り盛りしていて、
「今日はマスターのお通夜よ」
と言われて、驚いたことがあった。
テレビドラマやCM、バラエティー番組の再現ドラマなどで、
ちょくちょく出ているのを見かけていたように思ったので
(実際は再放送を観ていたのかも知れない)
てっきりお元気だと思っていた。
呼ばれたような気がした…。
2017/03/31
【呼ばれたんだね@新宿ゴールデン街「べるじゅらっく」】
https://sake.vietnhat.tv/e32592.html

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ま、そんなこんなで。
街は、どんどん変わってゆくのだなと思った。
Standing BAR【日本酒で乾杯!】としては、
店の前の強引な客引きと黄色い声、
胸のお窓がドンドン大きくなるおネエさんが屯していると、
ご夫婦や、お子様連れのご家族の足が遠のく…。
それでも以前からの常連さんは、
お子様連れでご来店くださるが、
駐在の奥様達は、なかなか来にくいと思う。
今は年末年始と重なったので、分かりづらいが…
どういう影響が出るのか、
はたまた、また元の木阿弥になるのか…
年明けぐらいから、顕著になるのだろうか。
いずれにしても、弊店は看板も出していないので、
「ふらりとお入りになられる」店ではない。
昨日も、観光にいらしたお客様が
「ホーチミン」「日本酒」とインターネットで検索して、
お立ち寄りくださった。
逆に、初のホーチミンで、
他のオネエさんたちに引っ張って行かれず、
真っすぐ弊店に上がって来られて良かったとも思う。