日々の雑感
【小さな市場に、ねじ込んだ方が勝ち?グローバル時代をゆく】
「進出」という言葉に、とても違和感を覚えていました。
日本の市場が縮小したからといって、
海外の市場に「進出する」・・・という構図が、
かつての悪しき歴史の、別の構図が見え隠れして、
嫌な気持ちになるのかも知れません。
ところが。
今、ベトナムで大きく市場を開拓している大企業の社長様に
インタビューをさせていただいて、
まったく別の考えをお持ちなことに、驚くとともに、
感動を覚えたのです。
ある方は、
「(弊社は)ベトナム人の、ベトナム人による、ベトナム人のための」会社である。
技術、経営ノウハウ、すべてをベトナム人に教え込み、
自分たちで主導して運営できるようになることが目的だ、
と、お話しくださいました。
またある方は、
「(私たちは)ベトナム政府から、今の輸入過多国を、
どうか、輸出過多国にして欲しいと頼まれたのです」
そして今や、日本のその食文化が、ベトナムの原材料で、
ベトナムの生産で、ベトナムのオペレーションで、
ベトナムから、46カ国に輸出されるようになりました。
この企業を、日本企業ではなく、
ベトナム企業だと思っているローカル人も、少なくないようです。
こうした考え方について、私は、
グローバル時代を生きてゆく、経営哲学
だと思いました。
一方で、先日、こんな話も聞きました。
ベトナムにもすでに、相当額輸入されている、日本の食文化。
日本からベトナムへの輸出額は、世界第13位です。
ですが、私が感じるのは、ベトナムに輸入されていても、
エンドユーザーに届いている感がない、
それはベトナムで、この事業に関わる
ほとんどの人が感じている、現実です。
実際、卸の倉庫や、卸し先で眠り続けて、
商品としての価値がなくなってしまっている在庫も散見されます。
サプライヤーは、営業まで手が回らなく、目詰まりしています。
ですが、日本側からは、
「輸出した者勝ち!サプライヤーの倉庫に入れたら勝ち!」
とばかり、ベトナムの、まだ小さく育っていない市場に、
とにかく商品を送り込もうとしています。
同業者の足を引っ張り、押しのけて、
自分たちの取り扱い商品を「ねじ込む」企業もいると聞いて、
耳を疑いました。
ですが、裏事情に詳しい業者さんなので、
その話は本当なのでしょう。
日本(あるいは自社)を中心に、商売を叫んでも、
三年先、五年先、
残ってゆかないのではないかなと、私は思うのです。
日本から一歩出て、そこに生活と仕事の拠点を置いてこそ、
見えてくること、
それが、前述の企業のような、
「ベトナム人のための」という考え方を産むのだと思う、
今日この頃です。
企業の規模の大小は関係なく、
そういう考え方ができる企業だから、大きくなってゆくのでしょうか。。。